第25章 battle20…キス
話し合いの日から一日置いた翌日、朝食の時間にその食卓は三蔵の一言で沈黙が落ちた。
「……本気で言ってるんですか?三蔵」
「あぁ。これ以上いることも無い」
「ちょっと待てよ!!雅は?」
「……」
「マジ?」
「何度も言わせるな。明日、この街を立つ」
急すぎる事でもあった。それでも普段にしたら十分すぎる程長居をしていたのも事実だ。
「雅の記憶の鍵、三蔵なんだぞ?それでも行くって言うの?」
「うるせえ、悟空」
「…三蔵……あなた、後悔しますよ?このままでは…」
「……」
「それ、返すんじゃねえのか?」
「それはあいつの気持ちが向いたらだろうが」
「一週間そこそこで好きになるのかよ」
「だからだろうが。西の異変を止めに行く。それが俺たちの進むべき道だ…」
「あれ程探していたじゃないですか…」
「もうこの話はいい。準備しておけ…」
そういって食事の席を立った三蔵。悟空や悟浄の止める声にも振り向くこと無く部屋に戻ってしまった。
「ありゃ本当に明日にはこの街出そうだな…」
「せっかく雅見つけたのに……」
「まぁ、どちらにしても今日雅に会えたら明日立つ事を話さないと、ですね」
「そうだな」
そんな事を話していた。買い出しついでに食事処を覗くと雅は笑顔で働いていた。
「あ、」
八戒達の姿に気付いたのかパタパタと近寄ってきた。
「八戒さん。悟空さんと悟浄さんも。」
「よ!」
「お買い物?」
「えぇ。それで、今日はあなたにちょっとお伝えしなくてはいけないことがありまして…」
「あ、なんですか?」
「僕達、明日この街を出ることになりました。」
「……え?」
突然の話しに一瞬雅の言葉はつまった。