第24章 scene19…桜の下
菩薩、観世音菩薩!」
そう走ってきたのは二郎神だった。
「なんだ、騒がしい」
「公務が溜まってるのに何呑気に花見何てしてるんですか!」
「んー?雅の様子みてんの」
「様子って……ついこの間も見てたじゃないですか…!!」
「だってよぉ、あのバカ共と無事会えたってのにまた同じことやってんだぜ?デジャブだ、デジャブ!」
「はぁぁ……」
ため息を吐く二郎神。それでも菩薩は嬉しそうに見ていた。
「それにさ二郎神?」
「なんですか」
「あいつ、下界の妖怪薙ぎ倒してんだぜ?」
「そりゃあなたがそう仕込んだんでしょ!」
「そうなんだけどよ、そのときの呆気に取られるあいつらの顔がマジでおもしれえ……」
「悪趣味ですな…」
「それにしても……ある人に修行って……相変わらず笑える…やっぱオレの元に置いとくんだったかな…」
「おふざけが過ぎてますぞ?!」
「ふざけてねえよ」
そう菩薩が一瞬真面目に答えると桜の木がザァアっと揺れた。
「オレはふざけてねえさ。ただ…」
「……ただ、なんですか?」
「……いや、こっちの話だ」
そう言って菩薩は二郎神の方に向き直る。