第21章 battle17…月光
よっと腰を上げて悟浄は『また明日な』と後ろ手を振り、八戒の部屋を後にした。そのまま三蔵の部屋に向かうとノックをする。
『……誰だ』
「相変わらずだな、お前のその返事」
「入って良いとは言ってねえ」
「それも相変わらずだな」
「なんだ」
そう答えながらベッドの縁に座ったままの三蔵に向かい合うように椅子の背もたれに手を置きながら座り悟浄は話し出した。
「さっき雅帰ったぜ」
「…そうか」
「記憶の鍵について、教えてくれたは良いんだけどさ?なんかめちゃくちゃ単純明快だったわ。」
「……それで?」
「聞きたい?」
「……言いに来たんじゃねえのか?」
「…フ…どうしよっかなぁ…」
「…貴様……」
「でもま、記憶戻したいって雅言ってるし?雅の願い叶えてやりたいし、その鍵が目の前に居るのに教えねえってのも…俺的にはすげえ勿体ねえから」
「……どう言うことだ」
ピっと人差し指と中指を指し向け、悟浄はにっと笑った。
「お前だとよ、三蔵。」
「……ッッ」
「お前以外じゃ開けれねえわ」
「…意味が解らん」
「記憶なくす直前に雅が想ったたった一人にその時雅が想った事と同じことを言ってもらう。それだけだって。心当たり、爆アリだろ?」
「……」
「三蔵?」
「今の俺がそれをいきなり言ったってあいつは混乱するだろ…」
「…でも、鍵はそうだと。」
「で、なんであいつはそれ知ってんだ。」
「それは秘密だって言って教えてくれなかったけど…八戒に言わせたら菩薩に聞いたんだろうって。」
そう話していた。言うだけ言って悟浄はよっと椅子から立ち上がると、ン…と背伸びをして三蔵に背を向けた。
「じゃ、そう言うことだから…」
そういって手を振り出ていった。どうすることも出来ないまま三蔵はじっと手を見つめていた。