第17章 battle15…バーサス
「雅!」
「えっ…悟空さん…?」
「一人で抱え込まなくても良いってんの」
「それに、この方達の目的は家の三蔵の経文ですし」
「でも…」
「ま、なんなら一緒に殺りますか?」
そうにっと笑う三人。三蔵はハァっとため息を吐いていた。しかし立ち回り、銃を出す。
「……ッッ…この音…」
ぽつりと呟くものの誰にも聞かれることはなかった。その時だった。
「この女…!!ふざけやがってぇ!」
「…あのバカ…ッ」
妖怪が近付き飛びかかろうとしていたのを一瞬気付くのが遅れた雅。
ガウンツツ!
「ボサッとしてんじゃねぇよ、バカ」
「…あっ……ありがと」
後ろからぐいっと抱き寄せ三蔵の銃弾が妖怪を仕留める。その時、シャラっと胸元からリングが零れた。
「……ッ」
すぐに手を離し、辺りを見渡す。逃げる時にこけたりした人も何人かいた。
「…スゥゥ…」
すっと手を出し祈るようにしてパッと手を掲げる。その光は小さな粒となり辺りの街人の怪我を軽くしていった。
「これで良し。」
「あの、雅さん?」
「あ、八戒さん。済みません」
「いえ、それより体、大丈夫ですか?」
「え…体って…」
「あれだけの力を使ったら…」
「はい、少し眠くなる位で…先に失礼しますね?」
そう言って雅はペコリと頭を下げて、自身の借りている部屋に戻っていくのだった。