第13章 scene12…旅立ち
翌日、朝早くに目を覚ました雅。ほぼ同時刻に菩薩も目覚めていた。
「お、起きたか?」
「…ん…おはよー…菩薩」
「おぉ。その間抜け面も見納め、か」
「…んー…」
良く理解できていない雅。それでもベッドから降りて菩薩の前に来ると目を擦りながらもぽすっと腹に拳を入れた。
「いってえな…」
「嘘ばっか……」
「クス…支度しろ。見送りしてやる。」
「…ん」
そうして急いで身支度を済ませ、荷物を持つと二郎神の見守る中、菩薩と一緒に下界へと降りていく雅。
「ここから見えるだろ?あの街だ。結構でかいだろ。」
「ん…」
「心配するなって。自信もて、」
「……ん」
「…たく…」
そう言うとそっと唇が重なるだけのキスを落とした菩薩。
「…ッッ?!」
「緊張なんざ降っとんだろ?」
「だからって…!やり方!!」
「ほら、行けよ、あ…」
「え?何?」
「下界の時間で半年、経ってるからな?」
「…ん!!」
「じゃぁな」
「あ…!菩薩!まって?」
「なんだよ!」
「…ありがとう!」
「…おぅ、じゃぁな」
そう言って菩薩はザァッ…と消えて天界に戻っていった。歩き出した雅は街に入る。
「…あれ…?旅の人かい?」
「…えっと……もし…もし良ければ…ここに住まわせて欲しいんです…」
「…そうかい!」
「え…?」
「でかい街だし。なんなら町長に挨拶するのに連れていこうか?」