第10章 scene9…真実
俯きながらも何かをこらえているような顔をしている雅。
「…泣いてんのか…?」
「…誰が泣いてるのよ!勝手なこと言わないで?」
「…チッ…」
「記憶失ってないなら……まだ思い出す可能性あるんでしょ?」
「……そりゃな?」
「だったら……いいや…」
「おい…」
「本当はどんなことなのか……どうしたらいいのか…すごく気になるけど…教えれないんでしょ?」
「…」
「天界の上の方の人に知れたら……厄介なんだよね?」
「…まぁな」
「この事、言わないから……心配しないで…?」
「誰も心配なんかしちゃ居ねえよ…」
「そうなの?」
「…オレのした事だぜ?誰にも文句なんか言わせねえよ」
「…クス…菩薩らしい…」
そういいながら立ち上がると雅は菩薩の前にたって首に巻き付いた。
「ありがと……菩薩…」
「何がだ?」
「記憶……残してくれて…」
そういって笑っておやすみ、というと部屋を後にして言った。