第9章 scene8…夢
「……、ゃび…おい!雅!」
「…・・え?あ、ごめん菩薩。何かあった?」
「『何かあった?』じゃねえよ。なんだ朝からボーッとして…寝不足か?」
「…そうじゃなくて……」
「ちょっと休憩!」
「観世音菩薩!?」
「こんなやつ居たら仕事になんねえだろ、二郎神」
「…ごめん……」
「なんだ、言ってみろ」
「…実は……」
そうしてここ最近立て続けに見る夢の話をした雅。それを聞いて二郎神の顔は少しずつ焦りの色が見えてくる。しかし菩薩は顔色一つ変えていなかった。
「そうか。」
「うん……あの人達…誰なんだろ……よく解らないんだけど……」
「…さぁな。」
「そうだよね…菩薩も解らないよね……」
「それはどうか解らねえが…ただ、言えんのは、雅にとって大事な奴らなのかも知れないってことだろ?」
「ん……知らない人ってわけでもないと思うんだけど……だって、私の名前呼んでるし……それに…すごく楽しそうだった。でも、誰も他の四人の事呼んでるんだろうけど…誰の事も名前解らないんだ……」
「…そうか…」
「観世音菩薩…」
「まぁ、そのうち解るかも知れねえし」
「…解るかな…」
「雅がちゃんと仕事したらな?」
「……それってスッゴクはぐらかしてない?」
「はぐらかしてねえよ」
そうしてトイレ行ってくると行って雅は席を立った。部屋の戸を閉めた直後に二郎神は菩薩に声をかける。
「観世音菩薩!まさかと思いますが…雅の、彼女の記憶を消したんじゃなかったんですか?」
「…消せなかったんだよ」
「それじゃぁ!!雅の記憶は!!」
「蓋してある。でっけえ鍵かけてな」
「はぁぁぁ」
「項垂れんな、二郎神。少なくても天界ここに居る間には開く様な鍵じゃねえよ」
「……しかし…それがばれたら…」
「…バレるか?」
「もしそうだとしたら!どうされるおつもりですか!」
「どうもしねえよ。」
「それに鍵とは……」
「下界にしかねえからな」
「それはもしかして……雅のさっきの話からしても…玄奘三蔵一行に関わることですか?」