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凜恋心 ♢ 転生編 ♢

第7章 battle6…填心


「たく、あいつの事ならてめえに聞かなくても噂位の話でも聞こえるっつうの」

そう。情報屋と要ってくるものは今までにも何人かいた。それでもそんなものに頼ったことは今まで一度もなかった。

「とはいえ……あのクソババァがそう簡単に下ろすとも思えねえからな……ハァァ…くそ」

そう呟きながらも宿に帰っていった。

「おや、三蔵」
「……八戒か」
「すみませんね、相部屋が僕で」
「あのうるせえ奴らよりは幾分マシだ」
「それは良かった。…それで?」
「なんだ」
「……この街にも手がかり無し、といったところですか?」
「……気付いてたのか…」
「えぇ。街や村についてまず始めに三蔵が単独で行動を起こすのは雅の事に関してだと思ってますし」
「……そう易々とは行かねえよ」
「そうかもしれませんが……」

そういう八戒の前で三蔵はシャラっとネックレスを取り出した。

「雅を見つけたら返すんでしょう?」
「ただでは返さねえよ」
「…三蔵?」
「あいつが俺に、想いが向いたら返せって言ってたろうが…俺だけの想いで返せるかよ」
「……三蔵…」
「クソだっせえ…どうかしてるな…」
「良いと思いますよ…?」
「……」
「どうせ三蔵は雅以外に想いを寄せることは出来ないでしょうし。雅も他の誰かの手の内に填まってなければ三蔵のもとに来るでしょうし」
「他の誰かって……」
「そりゃ、例えば下界に降りてきたとしたときに三蔵との感動の再会をする前に出会う誰か、とか?」
「…チッ……」
「でも、そうなったら返せませんね…」
「だとしたら俺のものになるだけだ…」
「そんなこと微塵も思ってないくせに…」
「だったら初めから言うな、八戒」
「…すみません。あまりに三蔵がクソだっせえ事言ってたので……」
「……フッ…うるせえよ」
「それじゃぁ、三蔵?コーヒーでも飲みますか?」
「……あぁ」

そういって二人はゆったりと時間を過ごしたのだ。しかし見つけられない事への苛立ちにも似た歯がゆさはいつまでも三蔵の中に燻り続けた。
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