第8章 年下幼馴染はご乱心✿保科宗四郎✿
「あ、あとな?すぐには結婚したないんや。恋人、楽しみたあらへん?」
楽しみたい!とはしゃげば、まだやけどなと釘を刺されてしまう。
「ちゅーもあかんの?他は?ちゅーの先のこととか…。」
「したことあるん?先のこと。」
首を振るとよくわからないが、ええ子やねと頭を撫でられた。
宗四郎くんはしたことあるんだろうか…さすがにあるか、私よりも年上なのだ、あるに決まってる。
「ごめんやけど、僕はしたことあるで。君のこと諦めとったからなぁ。」
私は何も言っていないのだが…エスパーかのように私が考えていたことに対して答えてくる。
そっか…と答えると嫉妬せんでと柔らかくキスをされた。
さっきの質問、答えてくれてなかったけど、応えてくれた。
「あの、その……アレって気持ちええの…?」
「ん?アレ?……あぁ、僕は気持ちええで?けど、君は最初痛いかもしれへん。まあ、なるべく痛ないようするから安心しててな?」
まるで私の初めての相手が宗四郎くんなのが当たり前のように話す彼を見て、心を乱される。
恥ずかしくて彼の顔を見れなくなり、ぼすっとその胸に顔を隠した。
「さて、戻るでー仕事せんと。」
意地悪ぅと額をぐりぐりと押し付けたが効き目はないらしい。
「あかんーこれから剣道の指南あんねん。大人しゅう待っとって。」
「私も行っちゃあかんの?」
ええよと手を引かれていく。
本当は私は今日、非番なのだ。異動してきたばかりだから。
抱き締めてくれなかった…。