第8章 年下幼馴染はご乱心✿保科宗四郎✿
執務室ではなくよくわからない部屋に連れて来られた。
応接室だろうか。
湿布が貼られた頬を優しく包み親指で撫でて、眉を下げている。
「よう聞いて…これから大事な話するから。」
なんだろうと、見つめられるので見つめ返した。
…のだが、急に私のスマホが鳴り出したので確認すると父からだったので、彼は出ろと言う。
「美影、今すぐ戻って来なさい。お前は宗一郎くんに嫁がなあかん。」
「は……いや、何言っとんの?なんで宗一郎くん?絶対嫌やから。」
宗四郎くんに僕が代わると言われスマホを渡した。
意味がわからない、なんで宗一郎くんが出てくるのだ。
確かに宗一郎くんのことは好きだが、結婚とかそういうのがしたいわけじゃない。
結婚したいのは宗四郎くんだけだ。
「どっちでもええ言うてましたよね?やから、美影ちゃんとは僕が結婚します。」
え、なんの話しとるの?宗四郎くんと結婚出来るのは嬉しいけど、付き合ってもないのになんでそんな話になっているのか。
かれこれ10分は言い争いをしている。
いつの間にか宗四郎くんのスマホにも彼のお父さんから連絡がきて、3人…いや、2対1で言い争ってる。
せめてグループ通話にしたら…?
あーもう!!
「おとん!私は絶対宗四郎くんやないとあかん!!他の人とは絶対に一緒ならんから!宗四郎くんのおとんも聞いとるやろ!?そういうことやから!!」
どちらのスマホも通話終了ボタンを押して強制的に終わらせた。
驚いて目を見開いている彼に堪忍なぁと口付けた。
「私と結婚してくれるんやろ?宗四郎くんも私のこと好きなん?」
ふっ…と笑った彼は口付けて、離れたと思ったら何度もちゅっちゅっと口付けてきた。
「まだ結婚せぇへんよ?」
え…まだ?しなきゃいけないんじゃないの?
私としたくない?
ほんで、なんで好きなのかという質問には答えてくれへんの…。