第8章 年下幼馴染はご乱心✿保科宗四郎✿
それでも欲には勝てなかった。
「し、したい……っ!?」
すぐに唇が重なり温かく柔らかな感触が私の想いを溶かしていく。
ずっとしたかった…こんな風に触れて欲しかった。
それでも、私が彼の心まで手に入れることは出来ない。
触れただけの唇はゆっくり離れていく。
「えっちなんは、まだお子ちゃまには早いで?」
ニヤリと笑った意地悪な彼は、キスをしてもなお、私を子供扱いする。
そして現実に戻されていく。
顔に熱が集まり一瞬心臓が止まったかと思うとバクバクと動き出した。
苦しい、死んじゃう…宗四郎くん好きや…。
涙まで零れても、彼から目を離すことは出来なかった。
こんなんでよくえっちなキスしてなんて言えたもんだ。
「え…美影ちゃんほんまに僕のこと好きなん…?」
「…ちっ、ちゃうっ…!えっちなのしてくれへんかったから!私子供ちゃうもん!あと好きなんは、幼馴染としてやから!」
困ったような顔をされたので咄嗟に否定すると、今度は笑った。
その笑顔は見たくなかった。
「あーそうやよね…君も成人したし思たけど、まあそうよな。好きに生き?」
なんのこと?
だからその笑顔は見たないんやって、やめて…そんな風に寂しそうに笑わんで。
宗四郎くんが何を言ってるのかわからない。