第8章 年下幼馴染はご乱心✿保科宗四郎✿
私たちはオペレーションルームに移動して、先程の映像を大きなモニターに流される。
嘘でしょ…見られたら困る。まさか、そんなはっきりカメラに映るところだとは思わなかった。
私が殴りかかる前の男2人の会話から始まり、私の汚い言葉が聞こえてくる。
聞かせたくなかった、宗四郎くんの悪口なんて。
それに好きな人なんて言ってしまったんだ。
「聞かんといて……嫌や…聞かんで、宗四郎くん…。」
宗四郎くんの悪口も私の好きな人という言葉も、私の願いは虚しく全て聞かれてしまう。
彼の顔は見れなかった。
「……第6でのことも、同じなんか?」
コクっと頷けばそうかとだけ返ってきて、彼は亜白隊長と話をしている。
話が終わったようで、私たちはそのまま医療棟へ連れていかれた。
治療を終え庁舎に戻ってくると、亜白隊長が男2人を連れていき、私は宗四郎くんに連れられて執務室へと来る。
「とりあえず、君のことは僕が当分監視することなった。あいつらは謹慎処分や。」
なんで宗四郎くんなの…一緒にいるのが辛い、私の好きな人発言には一切触れて来ない。
「……どうする?ちゅー、したい?」
殴られていない方の頬に手を添えて見つめてくるので、目を泳がせてから逸らした。
私はただの幼馴染、ガキ…そう言ってたくせになんでそんなことを聞くの。
「次やったらほんまに除隊なる。やからもうせんで。いくら僕が悪く言われても我慢してや。そんなん言われへんくらい強うなるから待っとって!」
宗四郎くんは充分強いじゃないか、自分たちが弱いから僻んでいるあいつらの為になんで我慢しなければいけないのか。
……違う、私の為に言ってくれてるんだ。
近付いてきた顔を見て目を瞑った。
だがそれは途中で止まり、彼の息がかかる。
「ちゃんと言うて。僕とちゅーしたい?」
したい、したいけど…私がしたいのはこんなんじゃなくて…。
私の気持ちを知った今、ちゃんと答えて欲しかった。