第8章 年下幼馴染はご乱心✿保科宗四郎✿
あんなこと言わなければよかった、そしたらまだあの人の隣にいれたのに。
来たばかりの立川基地で無我夢中で走り、自分がどこにいるのかわからなくなってしまった。
なんで立川基地はこんなに広いん…。
知らない廊下を歩いていると、男2人の声が聞こえて耳を澄ました。
「なんで副隊長があいつなったんだ?弱いだろ、銃もまともに扱えないんじゃなかったっけ?」
「隊長が引き抜いたらしいし、お気に入りなんじゃね?ほら…身体使ったんだろ、あいつ顔いいし。」
誰のことを言っているのかすぐにわかり、頭に血が上って、いつの間にか男に馬乗りになって殴り倒していた。
宗四郎くんはそんなことしない、小さい頃からずっと…ずっと努力してきたんだ。
誰に何を言われようと刀を置かなかった、大好きだから…刀を振ることが大好きだから。
副隊長になれたのは、宗四郎くんの実力だ。
「強くなろうともせぇへんクズが、宗四郎くんのこと悪く言うなや!!それだけやない!自分らの隊長までそないな風に言うて…ほんまに終わっとる!」
こんな奴らがここにいるのが許せなかった、同じ人間だと思うと虫酸が走った。
「宗四郎くんは強いんや、すごいんや…私の好きな人、侮辱せんといて。」
気付けば他の隊員が駆け付けていて、取り押さえられた私を男2人は殴ってきた。
すぐに別の隊員がその2人も取り押さえてくれたが。
私たちはすぐに隊長室に連れていかれ、尋問を受ける。
宗四郎くんまで来てしまった。
揉める原因となった2人がいては男たちも本当のことは言えないようだ。
ただ、私がいきなり殴りかかってきたとしか言わない。
「異動してきて早々、問題行動…理由によっては除隊にしなければならない。このまま黙秘を続けるのならば、問答無用で除隊にする。」
「申し訳ありませんでした。」
ただ頭を下げるしか出来なかった。
除隊になるのは嫌だが、そうなるのも仕方ないとは思っている。
殴られた頬が熱かった。
「カメラの確認が取れました。」
頭を下げたまま黙っていると、知らない女性の声が聞こえて見てみると、眼鏡を掛けた人だった。誰だろう。
「小此木ちゃんありがとう。ほな行こか。」
小此木"ちゃん"?
彼が私以外にちゃん付けをしているのを初めて聞いた。