第8章 年下幼馴染はご乱心✿保科宗四郎✿
「ええよ、言うても。その代わり……優しく"して"?」
「優しくしとるやろ。」
どこがよ…さっきからずっと低ーい声なんですが。
「ちゃう……"して"…私と"して"。」
「何をや。何して欲しいん。」
ここまで言ってるのにわからないのか。
机に肘をついた彼は、はっきり言えやとまた睨んでくる。
そないに睨まんでよ…。
「……ちゅー、して…えっちなん……。」
「は……アホか。別にお前、僕のこと好きちゃうやろ。僕らただの幼馴染やん、そないなこと出来るわけないやろ。ガキが色気付きやがって。」
幼馴染……ガキ……ほらやっぱり、私のことはそういう風に見られないんだ。
10年以上想いを募らせたって、なんの意味もなかった。
告白もしてへんのに振られてしもた…。
顔を見ることが出来ない、声を聞いているのもきつい。
今にも泣き出してしまいそう。
「もうええ!宗四郎くんなんか知らへん!!」
声は震えてなかっただろうか…でもそんなことを気にしている余裕もなく、掴まれそうになった手を躱し執務室を飛び出した。