第7章 抑えられない✿保科宗四郎✿
次の日から彼が私に近付くことはなくなった。
謝らなきゃ…嫌な思いをさせてしまった。
執務室に行き、副隊長以外誰もいないことを確認して頭を下げる。
「すみませんでした。」
「ん〜なにが?なんかやらかしたんか?」
なかったことにでもされてるんだろうか、それは嫌だ。
「キス…しようとして……。」
「ちゃうやろ、僕の顔になんかついてただけちゃう?」
やっぱりなかったことに…はいと答えて執務室を出た。
行く時と同じ重い足取りでトレーニングルームへと歩いていく。
身体を動かして忘れたい。
「待て三浦!すまん!もう何もせぇへんから、今までのことは忘れてくれ。」
なんで…今までのことはなんだったの?別の子でも見つけた?もう私のことは揶揄わなくても、楽しみは他に出来た?
「ならなんで……なんでもないです!わかりました。」
笑顔を見せて、もう振り返らなかった。