第5章 好きな人には愛されたい✿保科宗四郎✿裏
その時、扉の外から声がかかり、彼は私から離れその人物を中に通す。
新人の市川くんらしい。
私は泣き顔を見られたくない為俯いたままだったので、彼が市川と呼ぶ声がしたのでそう思った。
「あーそいつは気にせんで。不敬働いたからその罰や。」
市川くんがいなくなり、私は合計250回の腕立てを終わらせ副隊長室を後にした。
ん?市川くん?
扉を開けるとすぐそこに市川くんまだいて、話しかけてきた。
「大丈夫ですか?泣いてましたよね?ここじゃあれなんで、他のとこ行きましょう。」
そう言って私の手を引いていく。
意外とグイグイ来る子なのね…。
屋上に連れて来られて何があったのか聞かれたが答えられるはずもなく、腕立てがきつかったと笑って答えると彼は何も聞いて来なくなった。
何回したのか何をしたのか聞かれ答えると眉間に皺を寄せる。
「副隊長が泣かせたとは思えないけど、あの状況だとそうとしか思えないですよ。」
肯定も否定もせず笑った。
その時、屋上の扉が開いたので、市川くんと距離を取った。
結構近かったのだ。
「三浦、ここにいたんか。まだ話は終わってへんで。」
副隊長室を出る時いろいろ言われたがそのまま部屋を出てしまったから追いかけてきたのだろう。
もう話すことないのだけど…。
また亜白隊長と比べられるのかと思い全力で拒否した。
なのに、上官命令やぞと腕を掴まれて連れて行かれる。
市川くんが何かを言っているが、彼は無視して来た道を戻っていく。