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魅惑の恋【保科宗四郎多めごちゃ混ぜ短編集】

第33章 11月21日。✿保科宗四郎✿裏


庁舎の廊下を手を引かれながら俯いて歩く。顔が熱くてしょうがない。傍から見れば、私は副隊長に連行されているように見えるだろう。それでも、私の手を引くその手は、とても優しかった。

「頷かへんのに、大人しくついてきてまうんやな」

だって…副隊長の手が"逃げないで…"って言ってる。握り返すと、鼻から抜けるような笑い声が聞こえた。私、副隊長と手繋いでるんだ。

「その…最近してないから溜まってる、とかですか?」

「ん〜?それは君やないの?僕は別に溜まってるとかないで?誕生日プレゼント欲しいだけや」

溜まってない?じゃあ誰かと……

「君、今、変なこと考えてへんか?あんま言わせんで…自分で処理しとるから」

なるほど…よかった。

執務室に入ると誰もいなくて、副隊長は小さめの黒いショルダーバッグにスマホを詰め込み肩に掛けて、また私の隣に戻ってくる。「ほな、行こか」と髪を撫でて、一瞬だけ額に唇を触れさせた。

ニコッと微笑んだ副隊長を見てから、一度、寮へ寄る。外泊の申請をしていないが、副隊長の家に行くから大丈夫だろうか。というか、"副隊長の家に泊まる"で合ってるよね?

「あの…外泊の申請は……」

「あー、ええやろ。僕が言っとく。どうせ、僕ん家やしな」

「すぐ近くや」と軽く言う副隊長は、本当にあの副隊長なのかと疑った。普段、あんなに厳しいのに…。副隊長は私の手を引きながら、通信機でオペレーターと話している。私の外泊についてのようだ。

寮につくと、「準備してき」と手を離された。
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