第33章 11月21日。✿保科宗四郎✿裏
諦めた副隊長はゆっくりと唇を離し、ジッと見つめてくる。
「僕今日、誕生日やねんな。モンブランありがとう。やけど…君からは他のもん欲しい。君の"時間"、くれへん?」
「時間?」と首を傾げる。
「せや。これから――て言いたいとこやけど…今日の"夜の時間"だけでええ。……君の特別なもん、奪いたい」
夜の時間………残業!?何をすればいいのだろう。新人の私が副隊長の仕事を手伝えるわけもないし…「副隊長の仕事は出来ませんよ」と返した。
目を見開いた副隊長は次の瞬間、吹き出した。
「なんで伝わらへんの…ふ、はははっ!"夜""特別"でわからへん?したことないん?ほんなら、ちょいと考えるわ」
また首を傾げれば、「処女?」と聞かれた。副隊長が何を言ってるのかやっと理解し、身体中の温度が一気に上がる。
私、副隊長に誘われてる?
「ふ、副隊長とはしたことありませんけど…」
「ん、僕も抱いた覚えないな。……処女やないんやな?ほな、こんまま僕ん家おいで」
"したことないん?"に対して答えてしまう。副隊長は真面目に答えて、柔らかく微笑んだ。「帰ろか」と私の手を引き、休憩室を出ていく。
私まだ、"あげる"なんて言ってない…。