第32章 Changing Love✿保科宗四郎✿裏
「シャワー浴びてき」
静かに響いた声を聞いて、案内された脱衣所で礼服を脱いだ。宗四郎の家には始めて上がらせてもらった。家全体から宗四郎の匂いがする。とても爽やかで綺麗な匂い。抱いていた悠稀への罪悪感も、どこか離れていく気がした。
ゆっくりシャワーを浴びて、また礼服を着る。礼服という、特別な物を着てこれからする行為が、なんだか、いけないもののような気がした。僅かな背徳感にワクワクさえする。
「座って待っとって」
「ねぇ…宗四郎はそのままでもいいよ?」
「嫌や」
ぶっきらぼうに短く答えた背中が、脱衣所へと消えていった。緊張はしている。だけど…自覚した恋心は、どこまで突っ走っても、止まらない気がした。全て背負わせてしまった重荷を私に返してくれるまで、"好き"を言い続けよう。
戻ってきた宗四郎に駆け寄る。この男はどんな風に女を抱くのだろうか。悠稀の存在がチラつかないように、衝動的に、唇を重ねた。ゆっくりと離れて見つめ合う。もう…失うものなどない。