第31章 Lost Love✿保科宗四郎✿
ある日、悠稀が祀られている龍寧神社に足を向けた。悠稀だけではない、僕のご先祖もここに祀られている。
ここに来るといつも、どこまでも沈んでいく気がする。どうして僕はあん時、あの選択をしてしもたんやろう…苦しむ資格なんてないのに、僕はずっと心臓を握り潰されている感じがして、苦しくて辛い。
「っ、悠稀…ごめん……三浦っ、ごめん…」
喉の奥で何かがつかえて、上手く声が出てこない。息が出来ない。生きた心地がしなかった。僕にもっと力があれば…銃を使えたなら……"もしも"ばかりが頭に浮かんで、前に進めない。
春の風が肌を撫でるように通り過ぎて、一瞬、大切な人の声が聞こえた気がした。
「宗四郎、お前は間違ってないよ。美影を、この国を頼んだぞ」
ただの願望。そう思えば片付けられる言葉。だけど、確かにはっきり、この耳に届いた気がした。間違っていないのならば、何故いま、ここにお前がいない。
僕に泣く資格はない。だけど、胸が苦しくて、張り裂けそうなんや。必死に抑えている涙が、ふとした時に零れそうになる。
「うっ…はっ、はっ……ぁ…」
息が…出来ない。膝をついて地面を見つめる。冷たい汗が出てきて、視界が霞んでいく。助けてくれ、悠稀。僕が助けを求めることなんて出来るはずもないのに、誰かに…悠稀に助けて欲しかった。この苦しみを吐き出したい。でも僕は一生、この罪を背負って生きていく。