第31章 Lost Love✿保科宗四郎✿
時永悠稀(ときながはるき)――僕が立川に来て一番最初に認めてくれた人物。大切な部下、仲間。唯一、僕の親友となった男。隊員である以上、他の隊員と仲良くするのは避けていた。それでもあいつは、いつの間にか僕の心の中に土足で入ってきて、居座った。
三浦はそんな悠稀と高専時代から付き合っていた恋人だった。とても仲が良く、結婚するんじゃないかって噂も耳にしていた。悠稀から直接聞いたことはないが、満更でもなさそうだった。
三浦もまた…すぐに僕を認めてくれた大切な仲間。銃器の解放戦力が低く、今の時代では防衛隊員には向いていない僕。それでも二人は始めから僕の中身を見てくれた。
「切り開いてくれないか」そう言って、第6部隊から僕を引き抜いてくれた亜白隊長に似た隊員が、ここにもいるのかと胸が弾むような嬉しさを感じたことを覚えている。
「すまんかった。悠稀のこと…」
三浦の顔を見れば、どうしても悠稀の顔が浮かぶ。僕が殺したも同然な親友の…。三浦はもうあの頃の三浦ではなかった。あんなに見せていた笑顔は、今はどこにもない。
僕は悠稀どころか、三浦も殺したようなものだ。幾ら後悔しても、それが消化されることはない。小さな背中が遠くなっていく。その背中はたった一つで寂しそうだった。