第30章 嫌い…だと思っていた✿保科宗四郎✿裏
「なぁ美影…ほんまに僕のとこ来る?嫌ならええねんけど…どうせほぼ帰れんし」
デートの途中で街を歩きながら軽くボソッと、独り言のように口にした宗四郎さんを見つめる。ずっと前を向いているので、どんな表情をしているのかはわからない。
「行きたいです!あ…いや、ほぼ帰れないのでしたら、一人ですし…いいかなって…」
思わず食い気味に答えてしまい、慌てて言い訳を口にする。いきなり手を引かれて手の甲に唇をつけられた。
「ほな、はよ帰って準備しよか」
わかってる、深い意味はない、それでも期待してしまうのは、私の気持ちのせい?それとも…そう仕向けてるの?私の演技が下手だったから、本当に惚れさせてしまえばいいと…。
今から準備したって宗四郎さんが帰るまでには間に合わない。帰ったらご飯の準備もある。結局何も言えずに手を繋がれたまま家に帰った。ちゃんとデートしてくれたのが、すごく嬉しかった。