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魅惑の恋【保科宗四郎多めごちゃ混ぜ短編集】

第26章 虚虚実実✿保科宗四郎✿裏


午後は走り込みをして業務を終わらせた。折れてはいないはずだが、ジンジンと熱を持って痛む。帰るのもどうしようか悩む。彼と同棲しているから。同棲していても、彼はほとんど家に帰らないから大丈夫だとは思うけど…。

「三浦ちゃん、行くで」

今日は帰れるんだ…声をかけられ頷いて帰る準備を始める。別に一緒に帰らなくてもいいと思うんだが…私の歩幅に合わせてくれる彼の後をついていく。

「保科くん、どこいくの?」

帰ると思っていたのだが向かっている方向が出口ではない。答えないので私もそれ以上言葉を発することなくついていく。その背中を見ていると、少し怒っている雰囲気を感じた。

ついた場所は医療棟で、手首だけ?と聞かれて、大人しく隊服を脱ぎ左腕も見せる。保科くんは折れてないか診たってと医療班に私を渡す。診てもらうと打撲と捻挫だった。いつもだったらあんなフォルティチュードの怪獣でこんな怪我しないのに…相当動揺していたのだろう。仕事に支障をきたすなんて…。

帰ろと左手を握られて、基地内で何をしてるんだと保科くんを見る。付き合っていることは内緒にしていた。なので昼のあれも本当にバレるのではと、気が気ではなかった。特に理由などはないのだが、なんとなく隠してきたので、今更バレるのは嫌だ。もう別れてしまっているわけだし。

保科くんは無理やり引っ張ることをせず、ただ優しく手を握ったまま私の歩幅に合わせて、帰路を辿る。なんで握るの?と聞いても、逃げるかもやからと意味がわからない。もう保科くんにとってはどうでもいいだろうに…。
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