第23章 歪んだ愛情✿保科宗四郎✿裏
目が覚めると長机の上に横になっていて、私がきちんと隊服を着ているのにも関わらず、隊服の上着が掛かっていた。額がズキズキと痛み押さえながら起き上がると、長机から投げ出した膝にオカッパがあった。保科副隊長…だよね?そっと髪を撫でるとガバッと顔が上がる。
「三浦〜ほんまごめん、他の男と笑うて話しとるの見て、嫉妬してもうたあ…」
わけがわからずに首を傾げる。そもそもなんで私はこんなとこで寝てたんだ?嫉妬とはなんのことですか?嫌いにならんでと太腿に顔を埋めて擦り付けてくる。
「えっと…なんのことかわかりませんが、嫌いになることはありませんので…その…太腿、やです…」
「え…覚えとらんの?脳震盪で想起障害起こしとる…?」
なんの話をしているのだろう…副隊長を見つめていると、一度上げてくれた顔をまた太腿に埋めた。ずっとごめんと謝っている。この人は本当に保科副隊長なのだろうか。
突然顔を上げた副隊長は私の手を絡め取って握った。怒らんで聞いて欲しいと少し俯いて目を合わせずに呟いている。
「堪忍、犯した…三浦をレイプした」
怒る以前に意味がわからないのだが…保科副隊長がそんなことをするのか?違和感とか痛みない?と膝を開き股に顔を埋めて上目遣いで瞳を露わにし見つめてくる。あぁ、この感じ…本当なんだ、と呑気に思った。意識してみると少し痛みがある。
だが、記憶がないのにしっかり言って謝ってるのは副隊長らしいなと、凡そレイプされた女とは思えないこと考えていた。記憶がないのだからしょうがないと思う。
顔を埋めているのにも関わらず、怒るのでもなく慌てるのでもなく、ただボーッと彼を見つめている私を見て大丈夫だと思ったのだろう、ナカには出してへんよ、と先程よりも明るい声で言い余計押し付けてくる。
「っ…あまり押し付けないでくださいよ、んっ…保科副隊長!」
「レイプした言うとる男にこないなことされとるのに、感じてもうてるの?…ごめん、好きなんや。他の男とあんま仲良うせんで欲しい」
今度はお腹に擦り寄って抱き締めてきた。保科副隊長ってこんな人だったっけ…甘えているというか、縋ってるというか…情けない。こんなことを言葉にしてしまえばぶった斬られる可能性があるので、絶対に言えないが。何故か、いいな…と思ってしまった。