第22章 マッサージは口実✿保科宗四郎✿裏
「もうええか…三浦、帰ろか」
大きく頷いて保科くんには先に帰っててもらい、私はケーキ屋さんに寄った。ギリギリ閉店までに間に合って、運良くモンブランが残っていたので買って帰る。最近食べていたら申し訳ないが、マッサージのお礼ということで食べてくれないだろうか。
インターホンを押すことなく保科くんの家に入っていく。来すぎて、もう合鍵持っとけと言われて渡されたのだ。保科くんに信頼してもらっていると自負している。
リビングまで来るとキッチンに立っている彼を見つけて、先程からの空腹を誘う香りはなんだと確認しに行く。後ろからお腹に腕を回して抱きつき、何を作っているのだろうと覗き込む。恐らく、鶏肉のみぞれ煮か何かだろう。
「お前また、手も洗わんと…って、これモンブランか!?」
私の手にある箱の中身も確認せずに当ててみせる彼に、そうだよと返して腕を離し冷蔵庫に箱を入れ、手を洗いに行く。
あんなことをしているのに保科くんは全然意識してくれない。私のことはブラコンの妹か何かだと思っているんだろう。もしそうだとしたら、保科くんもすごいシスコンだと思うけど…。