第21章 忘れられない✿保科宗四郎✿裏
宗ちゃんへの想いを閉じ込めて、第3での合同訓練に向かう。正直、来たくはなかった。第3の隊長、亜白ミナ隊長が第6から刀のスペシャリストを引き抜いたと聞いていたから。関西の刀のスペシャリストと言えば、保科家の者しかいない。宗くんは今も第6の隊長をしている。きっと宗ちゃんだろう。
訓練をしていると簡単に見つけてしまう私の目は、ずっとそのオカッパを追いかけていた。昔と変わらず、オカッパに糸目の彼。動きは昔と比べ物にならなかった。
訓練が終わると弦くんは宗ちゃんに話しかけた。なんでそんなことをするの…しかも、ボクの元へ来いと言っている。
宗ちゃんが私をちらっと見た。私はすぐに目を逸らす。あぁ、大好きだ。今すぐその胸に飛びついて、あの温もりを思い出させてもらいたい。
「行くことは出来ませんが、そちらの女性隊員を少し借りてもいいですか?」
「こいつはボクの大切な子だ、変なことをすればどうなるかわかっているだろう?」
「何言うてはりますの、少し確かめたいことがあるだけです」
2人の会話は自身の心臓の音でほとんど聞こえていなかった。弦くんに声をかけられて行ってこいと言われる。弦くんと宗ちゃんを交互に見ていると弦くんに頷かれた。なんの頷き…。
ええですか?と聞かれたので大人しく宗ちゃんについていく。