第21章 忘れられない✿保科宗四郎✿裏
「名前…聞いてもええですか?」
「え、あの…名乗る程の者では……」
「ふっ、どこのヒーローですか?…いや、僕から名乗るべきですね。保科宗四郎言います」
知ってます、めちゃくちゃ知ってます。だって宗ちゃん、変わってなさすぎだよ…。そして、ヒーローはあなたですから…何度も守ると言ってくれたあなたのことをずっと想ってる。
ヒーローは宗ちゃんだよ…と思わず呟いてしまい、それを聞き取った彼はやっぱ美影ちゃんやんな?と詰め寄ってくる。壁に背中がつきもう逃げることが出来なくて、私を囲うように手をついた彼の視線から逃れるように横を向いて小さくなる。
怒ってるよね…あの日宗ちゃんの言葉を無視したこと。あんなに想いをぶつけてくれた宗ちゃんのことを無視したんだ、応えなかったんだ、もうあの頃に戻ることは出来ない。
「ごめんなさい…ごめんなさい、宗ちゃんの傍から離れて…」
「ええよ、今美影ちゃんが幸せなら。ただ…あの言葉はまだ有効やから」
あの言葉?とそー…っと宗ちゃんを見上げた。一生守る、と額に口付けられた。一気に顔に熱が集まり、宗ちゃんを見つめたまま固まってしまう。
ニコッと昔と変わらず微笑む宗ちゃんを見て我慢出来ず、許して…とその胸に擦り寄った。鍛えられた男の人の胸…もう私たちはあの頃のような子供じゃない。向けられた視線も私を抱き締めるこの腕も、弦くんとは違う甘く囁く声も、全て…私が欲しいと言っているのがわかった。