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魅惑の恋【保科宗四郎多めごちゃ混ぜ短編集】

第19章 弱った副隊長は✿保科宗四郎✿


リビングに来てゆっくりしててくださいとソファに横にならせる。
ちゅーしてや…と見上げてくる彼に冷蔵庫の物勝手に使いますよと声をかけて、ご飯を作り始めた。ほとんどなんもあらへんかも…と力無い声が聞こえ、冷蔵庫を見てみると調味料や飲み物しかなく、冷凍庫には1食分に分けられた冷凍ご飯や下処理をし分けられた野菜があり、何とも彼らしい几帳面さに笑みが零れた。

副隊長は嘔吐をしていたから軽い物がいいだろうとご飯を電子レンジで温めて鍋に入れ、水を加えてお粥を作っていく。最後に塩を少し入れて盛り付け副隊長の元へ運んだ。

「副隊長……すみません、少しでも食べてくれませんか?」

「ん…あぁ、ありがとう…」

寝ているのかと思ってお粥をテーブルに置いてから身体を軽く揺すると、寝ていたわけではなかったようだ。だるそうに返事をし腕を額に当て、起き上がることはない。
もう少し待ってみようと床に膝をついてさらさらと重力にならって流れる髪を撫でた。

どのくらいかするとゆっくり起き上がって背もたれに身体を預け、ふぅ…と息を吐いた。あんななってた後だから相当きついだろうと、ソファに投げ出された手をそっと撫でた。

ちゅーして〜と天井を見つめたまま呟く彼にまだ言うかと口には出さず視線を送る。食べれますか?と立ち上がって頬を撫でると擦り寄ってきた。気持ちええと柔らかい表情をする副隊長の額に口付けて、そのまま頬を撫で続ける。

「…口がええ…美影…」

いきなり名前を呼ばれてドキッとわかりやすく反応し、頬から手を離す。
あ…と口を開けた彼の口に、お粥をレンゲで掬って冷ましてからそっと入れた。美味いと笑う彼を見て、お粥でそんなことを言ってくれるのなら、色んな物を作ってあげたいとふわふわとした頭で想像した。

お粥を完食した副隊長に薬を飲ませてお風呂を借りようと声をかける。頷いた彼はいきなり私の腕を引き口付けて、名前で呼んでと至近距離で見つめられた。

「そ…宗四郎、さん…」

「ん、美影…はよ戻ってきて」

胸焼けがすごい…キスされてしまった。
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