第19章 弱った副隊長は✿保科宗四郎✿
30分もすれば落ち着いてきたようで、副隊長は膝を抱えながら私の胸に寄りかかり、規則正しい寝息を立てていた。
この状況…随分とやばいのでは?誰も来ないことを祈りながら、枕に徹した。
少し乾いてしまった口元を、副隊長が握り締めている私の隊服を手繰り寄せ優しく拭く。さすがに汚れていないところで拭いた。
10分もせずに保科副隊長は目を開け、私を見上げてくる。
「…どのくらい寝とった?あかん、まだ仕事残っとる…」
「10分も経ってないです。お願いします、今日はもう休んでください。心配なんです…」
お願いしますお願いしますと何度も心の中で懇願しながら見つめると、わかったと困ったように笑った。
「ほんなら、今日はとことん君に付き合うてもらうで。ちゃんと最後まで看病してや?」
はい、と答えて一緒に立ち上がり、自販機がある場所へと向かう。ふらふらする彼の身体を支えていると、すまん…と謝られて、先程言っていたのはなんだったのかと笑った。
自販機の近くにあるベンチに座らせてスポーツドリンクを買って渡そうとしたが、その手は力無くだらんと落ち、飲ませてと見上げてきたので、ゆっくり飲ませていく。飲むだけで少し息が上がっているようだ。
その時、隊員の話し声が聞こえて慌てて副隊長の頭を胸に抱き締めた。誰にも知られたくないようなので、副隊長だとバレないようにその特徴的な髪型を隠す。
話しながら歩いていた隊員はそんな私たちを見て、慌てて通り過ぎていった。
「すまん、ありがとう…」
大丈夫ですよと答えながら離れてもう少し飲ませてから、そのままそこで少し休んでもらった。