第17章 年下上司に愛される✿保科宗四郎✿裏
「え、きも。なぁなぁ、こいつ俺のこと好きなんだって!まじで無理〜ブスが男好きになるなっつうの。」
学生時代、そうやって振られた。私が好きになった男はたぶん、相当やばいやつ。
友人にはありえない!付き合わなくてよかった!と言われた。
あの日から私は男なんて好きにならないと決めていた。
のだが…毎日毎日、保科くんに好きだと攻められ、絆されてしまった。
あんなイケメンに毎日甘い言葉を浴びせられれば、そうなるのもしょうがないと思う。
ブスって言われたのが悔しくて女を磨いた。
今はあの時よりはマシだと思う。
でも、男に女は見せない。だから防衛隊員になったのもある。
ここで毎日、討伐と訓練に明け暮れていれば、私を女として見る人なんていないと思うから。
それなのに…保科くんはなんで私のことを好きになったんだろう。
あんなことまでして…あんな風に優しく触れられてしまえば、大切に思われている、なんて勘違いしてしまう。
トイレの個室で静かに涙を流した。
「なぁ、出てきて。」
通信機から声が聞こえてきて咄嗟にやだと答えた。
「なんで逃げるん?」
「上司と部下はあんなことしません。」
泣いているのを気付かれないように必死に平静を装う。
「今はちゃうやろ?ただ美影ちゃんのこと好きな男として接しとるんやけど。」
「男なんて…嫌いです。どうせみんな、私が好きだって言うと信じてくれないし酷いこと言うし。」
子供のように拗ねている自分があまりにも滑稽に感じた。
歳は彼より上、ちゃんと大人として接しないと…そう思うのに保科くんにはどうしても出来なかった。
本当は彼に甘えたい、だけどどう思われるかわからないし、気持ち悪いと言われるかもしれない。