第15章 桜の木の下で✿保科宗四郎✿裏
そんなことを考えてるうちに2本目の勝負が始まる。
どちらが早くメイド服に着替えられるかという勝負。
なんの勝負なのだろう…副隊長のメイド服は見たいけど。
嫌がる鳴海隊長を煽り、2人で更衣室に入っていく。
するとすぐにカーテンから顔を出した副隊長は、私に向けて手招きをした。
首を傾げながら駆け寄ると、口元に人差し指を立てて静かにというポーズを取りながら、私を中に入れる。
「着て。」
ボソッと耳元で囁かれて声が出そうになった。
私も彼の耳に近付いてなんでですかと問う。
「ええから着て。はよして。」
「副隊長が着ないと……え?今なんて?」
私が喋ってる途中で何か呟いた彼に聞き返した。
「好きや言うたんや。やから着て欲しい。」
耳元でそんなことを囁かれれば、黙って着替えるしか出来なかった。
顔が熱い…別に私のことが好きなわけじゃないのはわかっている。
だけど副隊長はわざと勘違いするように言ってきた。
動く度にナカから副隊長が吐き出したものが出てきている気がする。
着替え終わるとめっちゃ可愛ええと呟いた副隊長に連れられて更衣室しか出た。
隣からほぼ同時に出てきた鳴海隊長。
メイド服、めっちゃ似合ってる…現代最強がメイド服着てる…。
「着ろよ!?なんで三浦が着てるんだ!?」
「いやぁこの勝負捨てましたわ。やから、似合う子に着てもらった方がええでしょ?」
似合ってるかどうかはわからない、けど、副隊長が本心で言っているのなら嬉しいと思った。
勝手に捨てんなと怒る鳴海隊長を副隊長はまた煽っている。
その後もいろんな勝負が繰り広げられた。
利きモンブラン、とかね…。
この子たち、保科副隊長が好きなのかな?
シートの上で膝立ちになりながら未だにメイド服を脱がせてもらえない私は、2人が子供たちと遊んでいるのを眺めていた。