第15章 桜の木の下で✿保科宗四郎✿裏
「三浦お前…今のほんまに言うてるん?」
え?なんだ…副隊長の方を向けば、俯いていて前髪で目元が見えない。
「そうか…いくら抱いても僕の方は向かんちゅーことか。」
え、今なんと…?
恐らく今のは私しか聞こえていない、鳴海隊長は子供たちと言い争っている。
「鳴海隊長、こっそり自分に投票してたらしいですね?」
すぐにいつもの副隊長に戻った彼は鳴海隊長を揶揄っていた。
子供たちがすごいませてる…裏を返せば勝ちに貪欲ってことだよね等と、私でも思いつかないようなことを言っている。
すると何故か2人が勝負することになったみたいで、子供たちが仕切ることになったようだ。
まず1本目は花見客30人に恋人にするならどっち?と聞く勝負だ。
子供たちは手分けをして、もう1人はすでにアンケートを取りに行ったそうだ。ビデオ通話で繋いでいる。
どんどん意見が集まっていく。
ほとんどみんな保科副隊長を選んでいる。
そりゃあね…もちろん私も副隊長がいい。
「では最後に、三浦隊員も…。」
「えっ、私も!?」
シールを渡されて副隊長と鳴海隊長の欄に分かれたボード目の前に出された。
え、これ…私がやらなくても結果は決まってる…。
鳴海隊長は2枚しか貼られていない。
早くと促されて副隊長の方に貼ろうとすると、鳴海隊長の方に貼らされていた。
「うんうん、ボクだよなぁ。」
今、無理やり…。
「鳴海隊長、ずるはよくないですよ。今、僕の方に貼ろうとしてたやないですか。」
まあいいか、どうせ結果は変わらないし。
もちろん保科副隊長の勝利……。
「三浦の票が入ってへんから僕の負けや…。」
どう見ても副隊長が勝っているのだが…?
「おい、細目。お前、この女に惚れてるのか?」
鳴海隊長、その質問はやめて頂きたい。私がダメージを食らう。
「ど、どうでもええやないですかっ!!」
は?え?なんですかその反応。
私のことなんて性処理の道具としか思っていないはず…。
顔を真っ赤にして次や!と話を逸らそうとしている。
だからしてる時は名前で呼べと言うのだろうか。
僕に抱かれた身体のままでいろと言うのは独占欲からくるものなのだろうか。
自分のいいように解釈してしまう私がいる。