• テキストサイズ

短編集【怪獣8号:保科宗四郎 他】

第2章 無口な彼女が啼く時✿保科宗四郎✿裏


「保科くん。」


「ん、なんや?ちゅーか、名前で呼んでええ言うとるやん。一緒に住んどるねんから。」


3日前、女の子を拾った。
女の子と言っても、高校生か大学生くらいだろう。

ボロボロで路地裏に蹲っていてそのままには出来ず、お持ち帰りをさせてもらった。


家に連れて来た時はほとんど何も喋らず、名前を聞いたら美影とそれだけを呟いていた。

家に帰らんの?と聞いても首を横に振るだけ。


ボロボロで汚れていた為、洗ってあげたのだが、普通に女の身体をしていて、理性が飛びそうになっていたことは、彼女にバレていないだろう。


今は、僕の名前を教えたら保科くんと呼び、それ以外はほとんど喋らない。


「で、どしたん?」


声をかけても俯くだけで何も喋らない。

何か言ってくれないとわからない。


正座をして太腿を擦り合わせモジモジしている。

全然わからへん、なんや?触って欲しいんか?

そんな煩悩が頭を駆け巡ったが、今までそういうことをしていない為、いろいろ聞いてみる。


トイレに行きたいのかと思ったが、それなら勝手に行くだろう。


「なんかして欲しいことでもあるん?なんでも言うてええで?」


優しく声をかけるが、やはり何も喋らない。

今まではなんとなくわかっていたのだが、今回はまったくわからない。


「腹でも痛いん?なら、トイレ行き?」


例え下痢だとしても恥ずかしいことではない。
生理現象なのだから。


頷いたのだが、トイレに行く素振りは見せない。


「……ご、ごめん、なさい…。」


喋った。

保科くん以外を口にしたことを初めて見たので驚いてしまう。


「なんで謝るん?僕がいない間になんかやらかしたん?」


僕は先程、仕事を終わらせて基地から帰ってきたばかりなのだ。

仕事中に何かしてしまったのだろうか。


泣き出してしまった。

なんか、やばいことでもやらかしたん?


帰ってきた時、何も違和感は感じなかったのだが…。

/ 78ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp