第2章 私の大好きな人✿保科宗四郎✿
瞳が…至近距離で普段なかなか見ることが叶わない赤紫の瞳が私を捉えていた。
「ちゅーしてもうたぞ。なんか言うことないんか?」
いきなり何をするのだと言おうとしたら、ちゃうと遮られた。
「……好き…です…。」
「ん、やっと言うたな。なんでなかなか言わんのや。僕待ってたんやで?」
イラついてあないなこと言うてもうたけど…と目線をずらす。
なんで、キスしたの…?
待ってたってなに?
「なんで言わせるんですか…?私のこと嫌いでしょう?」
「嫌いな子にキスなんてせぇへんやろ。」
なんで…なんで言ってくれなかったの…?
なんで私から言うのを待ってたの?
彼が分からずに瞳を見つめる。
「ふっ、そうやな、僕から言えって話よな。……好きや。君が入隊してきた日からずっと見とった。」
未だに額が離れることはない。
副隊長の息が唇にかかる。
「私より先に好きになってんじゃん…。」
つい、タメ口になってしまった。
少し額が離れると両手を取られて指を絡められ、私の胸の前でギュッと握られる。
「一目惚れやもん。」
スリスリと頬を寄せてきて耳元で何度も好きやと囁かれた。
そのまま部屋の中に連れて行かれると、私がその家を出たのは朝になってからだった。
_______________....end.