第14章 寵愛と溺愛✿保科宗四郎+α✿裏
「あれ〜小此木ちゃんやん、どしたん?」
すぐとは言ったが、早すぎないか?
どうやら小此木さんは宗四郎さんに話があるらしく、そっとトイレを探しに行こうとすると声をかけられた。
「美影はどこ行くん?」
「え?あ…トイレ行きたくて…。」
「場所わからんやろ、案内したる。小此木ちゃん、部屋入っとってええから待っててや。」
なんか申し訳ない気が…いや、他部隊の隊員が基地内を彷徨くよりはいいか。
宗四郎さんにトイレまで案内してもらい、先に戻ってもらった。
小此木さんを待たせるのも悪いし、私がいない間に話をした方がいいだろう。
用を足して部屋に戻ると廊下の突き当たりで声がして慌てて隠れてしまった。
部屋の前で話している。
小此木さんを部屋の中で待たせていたはずでは?
「あの、三浦さんとは…。」
「あー美影な、彼女やよ。もー可愛ええやろ!」
あれ?話は終わったのだろうか…私の話になっている。
「副隊長が第1部隊の女性に猛アピールしてる噂は本当だったんですか!?」
噂になってたのね…まあ確かにあれだけ好きだと騒いでいれば、誰に聞かれていても仕方な……誰の前でも言ってた!
そうだ、周りに人がいてもお構いなしに好き好き言われてた…。
今思えば恥ずかしすぎる…すごく嬉しかったけども。
「噂て…僕、隠してるつもりなかったんやけどな。まあ晴れて僕の彼女や!一生かけて愛し尽くしたる。」
「そんな、ずるいです!副隊長ばっかり…三浦さん、女の私でも可愛過ぎて嫁にしたいくらい…。」
小此木さんはなにを言ってるんだ!?宗四郎さんはともかく!
2人は渡さないと言い合っている。何故私は取り合いをされているんだ…。
「いやぁ…美影は僕のこと好きやから…誰のとこも行かんと思うで?」
「付き合ってるくらいですからそうなんでしょうけど…って、三浦さんは物じゃないのに、なにを言い争ってるんでしょう…。」
「そやで〜美影は物やないし、僕から離れていくことも止められへん。まあ、もしそうなったら足掻かせてもらうけどな。」
いいなぁあの2人…小此木さんと仲良くなりたい。
宗四郎さんとはさっきまで仲良くしてたけど、もっと近付きたい、誰も入る隙間がなくなる程に。