第14章 寵愛と溺愛✿保科宗四郎+α✿裏
仮眠室にしては広い部屋に来て、ベッドに座らせられる。
宗四郎さんとベッドがある部屋に入るのは初めてで、目的も忘れてドキドキしてしまう。
目の前に屈み、膝に置いた私の手を優しく握った彼は、どしたん?と首を傾げて優しい笑みを浮かべ問いかけてくる。
鳴海隊長…と呟くと表情は変わらないが、握っている手がピクっと動いた。
「あの…鳴海隊長とセフレでした……それで、その…さっき……。」
先程あったことを全て話した。
俯く彼の表情が見えなくて怖い。せめて、何か言って欲しい、罵ってもいいから…。
「……知っとったよ。鳴海隊長との関係も、鳴海隊長の気持ちも。でも君が選んだんは僕や…僕まだ君に好き言われてへん、僕を安心させてや?」
知ってて…知ってて何も言わなかったの?傍にいれないのに…私はずっと鳴海隊長の傍にいるのに、ずっと我慢してたの?
「宗四郎さんが好きです。もうあんなことしないと約束するので、まだ私を好きでいてくれますか?」
先に好きになったのは宗四郎さん、ずっと必死になってたのも宗四郎さん。
でも私は今、彼に捨てられたくないと必死になっている。
握られてる手をぎゅっと握り返して、顔を上げた宗四郎さんの顔を涙を流しながら見つめた。
「過去のことなんて気にせぇへん…言うたら嘘なるけど、僕が好きなんは現在進行形の君や。だって君、守りたなるくらいめっちゃ可愛ええんやもん。」
どんな君でも好きやよと笑顔を見せた彼に引き寄せられるように唇を重ねた。
忙しくてなかなか会えなかった、会えても恋人でいれる時間は少なくて…いつも鳴海隊長に邪魔されて…でも今私は保科宗四郎という男を独り占めしている。
宗四郎さんとの初めてのキスは胸が痛くなる程ドキドキした。
「うわぁ、ちゅーされてもうた…初めては僕からしよう思っとったんに……ちゅーかこれ、癖んなるわ。」
心底幸せそうな顔をした彼は途端に色香を放ち、薄く開かれた目は私を真っ直ぐ捉える。