第14章 寵愛と溺愛✿保科宗四郎+α✿裏
「わっ!なっ…!?やだっ、やめ…!宗四郎さん…。」
「うるさい、それ以上オカッパの名前を口にしたら、ボクのモノで塞ぐぞ。」
手を引かれ、無理やり隊長のモノを握らされる。
なんでこんなことをするの…?私たちはもう終わったじゃない、ちゃんとお互い納得したのに…。
「……ボクが…ボクが先に好きだと言っていたら、オカッパじゃなくてボクを選んだか?」
濡れた前髪から覗く瞳から目を逸らせず、その言葉の真意を探ろうとした。
もしもの話じゃなくて、本当に隊長が私を好きなのだとしたら、これ以上世話を続けることなんて出来ない。
未だに離させてくれない手の中で硬さを増していく。
どうしよう、このままじゃ…。
「わ、私は…宗四郎さんよりも先に鳴海隊長が告白してくれてたとしても、あなたと付き合うことはなかったでしょう。」
何度も宗四郎さんの告白を断った。
それでもめげずに真っ直ぐ気持ちを伝えてくれる彼をいつの間にか好きになっていた。
何度も何度も…私がどんなに冷たい態度を取っても、変わらず尖った犬歯を見せて笑っていた。
私の好きなところをいっつも事細かく、心底愛しそうな目をして話す彼に落ちるのなんてすぐだったんだよ。
でも鳴海隊長はそんなことをしなかった。
身体を求めるばかりで愛の言葉を紡ぐことも、大事そうに労わることをしなかった。
「嫌だ。オカッパと別れろ!ボクのものになれ!」
あなたの言う"もの"は"物"なのでしょう?
こんなことばかりさせて私を困らせる。
小さな子供でも出来るようなことをさせて、私の時間を奪ってきた。
例えそれが私といる為なのだとしても、嫌だと思っていたんです。
鳴海隊長を嫌いなわけじゃない、けど愛することなんて出来ない。彼にそんな感情は湧かないから。