第13章 永遠の人✿うちはイタチ✿裏
イタチさんの腕の中でぽろぽろと涙を零す。
この人は里と未来、そして何よりも弟の為に、自身の心を犠牲にした人。
クーデターを起こそうとしていたうちはを三代目様は平和的な方法で解決しようとしたにも関わらず、ダンゾウが誰よりも優しいこの人にうちは一族の抹消を命じた。
何よりも大切にしていた弟、うちはサスケの命と引き換えに…。
うちはと里の二重スパイをしていたイタチさんは、里と弟を守る為、一族を両親を手にかけ里を抜け、暁の情報を里に渡していた。
全て任務だった。
この人の生き様は誰よりも慈愛に溢れ、誰よりも忍だったのだ。
「イタチさん、あなたは…私の大好きなお兄ちゃんのままだった…っ!」
もうこの人を殺す理由なんてない、同じ火の意志を継ぐ者…私の愛しい人。
「美影、このことは絶対に誰にも言うな。それと……お兄ちゃんはやめてくれ…。」
一人で抱えろと言っていた、だから言わない。
言ったとしても誰も信じないだろう。
ならば、私だけが知っていればいい、この人の本当の優しさを…。
イタチと呼んでくれと言う彼に頷き、今更この現状に恥ずかしくなる。
「俺は近いうち、サスケと戦い死ぬ。その前にお前を抱きたい。」
サスケくんと戦って目の前で死に、サスケくんを一族の仇をとった英雄にするのが、この人の最後の役目。
イタチさんの一生に幸せなことはあったのだろうか…悲しすぎるこの人の生をどうしたら明るく照らせる?
「イタチさん、あなたは生きていて…どのくらいの幸せを手に入れた?」
「両手では抱えきれない程…サスケと美影が生きている、それだけで俺は幸せなんだ。一生に一度、愛した女をこの手で抱けたのなら、思い残すことはない。」
最後に男としての子孫を残そうという本能…なわけはなかった。
ただ死ぬ前に一度だけでも、誰でもいいからと行為をしたかったわけでもなかった。