第12章 君が紡ぐ呪い✿狗巻棘✿
棘との再会から1年近く過ぎて、私たちは高校2年生になろうとしていた。
私が入学してからあまり経たずに高専に来た乙骨憂太は色々あったが、今は特級呪術師として大きな任務を受けている。
「しゃけ、明太子!」
いきなり話しかけてきた棘に手を掴まれて、そのまま引き摺られるように寮まで来てしまった。
未だにこの語彙はあまり理解出来ていない。
みんなもうよく知っているのにな。
連れて来られたのは、棘の部屋だろうか?
悩みでもあるのかと思い声をかけようとしたが、その声はその唇に飲み込まれた。
は?棘にキスされてる?
棘から毎日のように好意を向けられているのはわかっていた。
だからってこんな…けど、どうして私は嫌だと思わないのだろう。
「美影、好き。美影は?」
喋った…え、大丈夫なのか?これ…。
「好き。」
本当の気持ちを聞かせてと言われ、私の口は勝手にそんなことを音にする。
嬉しそうに笑った棘はまた唇を押し付けてきて、舌を入れようとしてくるので必死で抵抗した。
「開けろ。」
「なっ…!」
呪言使うとかありえない。
勝手に開かれた口の中に棘の舌が入り込んで絡んだ舌は、ぬるぬるしてるのに気持ち悪さがなくて、ただ気持ちよかった。
ゆっくりと唇が離れていき、頬を撫でて額にキスをされる。
ありえないくらい脈拍が上がっていて、何かの病気なのかと思った。