第12章 君が紡ぐ呪い✿狗巻棘✿
「ツナ、高菜…。」
ベッドから降りた棘は机の上にある紙とペンを使って何かを書いている。
見せられた紙には、"僕を好きになって"って言ってごめん。今の美影の気持ちは本物じゃない。と書いていた。
本物じゃないって…好きとかそういうのはわからないけど、もしこの胸の高鳴りがそうなのだとしたら、私は棘を好きなんだろう。
その言葉はきっときっかけで、今あるこの気持ちは……。
考えてもよくわからなかった。
ただ、確かなことは私は、狗巻棘という呪言師に一番厄介な呪いをかけられたということ。
「ふっ、棘…私に呪いをかけたのなら、幸せにしてくれないと許さない。」
目を見開いて見つめてくる棘に笑いかけた。
「ツナマヨ〜!」
だから、未だに言ってることわかんないんだってば。
呪術師に幸せがあるのかはわからない、この先、棘と一緒に生きていけるのかもわからない、それでも棘と一緒いれる時間を大切にしようと思った。
棘の隣は心地いいから。
「あ、私に呪言を使う時は気を付けてくれ。あまり強いものは使わないように。棘が死ぬかもしれない。」
「しゃけっ!」
ぎゅうと抱き締められて悪い気はしなかった。
いや、むしろ嬉しかった。
____________....end.