第12章 君が紡ぐ呪い✿狗巻棘✿
悲しそうな顔に見つめられて、心臓が爆発しそうな程、早鐘を打っている。
顔に熱が集まるのを感じたがどうにか抑えて、平静を装っていた。
「っ!なにすっ…。」
いきなり髪に触れられたかと思ったら、その髪を耳に掛けて、悲しそうな顔は目を細めて僅かに笑った。
「耳、赤ぇぞ。」
どうして…抑えたはずなのに…。
女の子に言われて、とりあえず深呼吸をした。
その後は2人共自己紹介してくれて、名前で呼べと言われる。
パンダがパンダで、女の子が禪院真希。
「美影、棘は呪言師の家系で、普段の会話で相手を呪わないようにおにぎりの具しか言わないんだ。」
大変、なんだろうな…。
あれでも…昔…。
「僕を好きになって、って……。」
「高菜ぁ…。」
私は呪いにかかっているのだろうか。
でも、好きという感情はわからない、だからきっと、狗巻くん…棘のことは好きではない。
それか、その時はまだ呪言をそんなに使えなかったのかもしれないし。
深く考えるのはそれまでにした。