第12章 君が紡ぐ呪い✿狗巻棘✿
「しゃけ!こんぶ!すじこ?」
「え…??」
狗巻くんだよな?
呪術高専に入学し初めて登校すると、突然あの時の男の子っぽい子が話しかけて?きた。
おにぎりが食べたいのだろうか。
「すまない、今おにぎりは持っていない。」
「おかか!高菜……。」
待て待て、何を言っているのか全然わからない。
わからないのも問題だが、この人が目の前にいると心臓が痛い。心拍が上がり続ける。
眉を下げて悲しそうにする顔をする彼を見て、そんなにおにぎりが食べたかったのかと、申し訳なくなった。
「美影、だったか…棘はおにぎりの具しか語彙がないんだ。お前に謝ってる。」
パンダ?…の着ぐるみ?
先程見かけたが、本当に意味のわからない奴ばかり…。
パンダの後ろに女の子もいる、この子もさっき見かけた。
というより、謝ってる?狗巻くんが私に?
謝られることをされた覚えはないが…。
「ツナツナ、高菜…ツナマヨ!」
なんで語彙がおにぎりの具だけなのだろうか。
通訳して欲しくてパンダに目線を移した。
「あ、え〜っと……ごめん、好きだよ。だって…。」
好き?
好きという感情があるのは知っているが、私にはそれがどんなものかわからない。
頬を赤くしたパンダが目を逸らした。
あれ、着ぐるみじゃないのか?
「狗巻くん、ごめん。私は好きとかわからないから。」
謝っている理由がわからない、好きという感情を抱いたことに対して?
いや、違う気がする。