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オウムの恩返し

第5章 釣り大会


「みんな、手伝って!」
「そんなに?! 重い魚なんている?!」
 僕の声に応じてぎぞくは疑いながらも僕の背中を掴む。ぽんPとコハロンもすぐに駆けつけてきた。
「重っ」
「魚でこんなに引っ張られることある??」
 とぽんPとコハロンもそれぞれ背中から掴んで一緒に釣り竿を引っ張る。
「わぁ! すごいすごい! 大物釣れるかな?!」
 それと真反対にオウムちゃんは楽しそうだった。釣り糸はまだまだ引っ張られたままだ。釣り竿落としたりしないかな?
「しっかり持ってね? オウムちゃん」
「うん!」
 僕はさり気なく、釣り竿を握るオウムちゃんの手に自分の手を重ねた。小さい、とすぐに思った。元オウムだから小さいのか、実はまだ子どもとかなのか僕は分からない。
 だけどオウムちゃんは浮きの方ばかり見ていて。
「あ、なんか見えてきた!」
「え?」
 僕たちは一斉になって海の方を見てみた。魚影が微かに見える。……ってあんなのこの世界にいたんだっけ?!
 ざっぱぁ!
 水飛沫を立てて魚が海から飛び出した……いいや、違う! あれはサメだ!
「わぁあああああああ!! サメ! サメサメサメだ!!!!」
 僕たちは釣り竿を引っ張っていた勢いで大きく砂浜で尻もちをついた。と同時にデカイサメが打ち上げられた。
「え? ヒカック、こんな魚この世界にいんの??」
 ぎぞくが裏返った声で僕に聞いた。僕もこんなのがいたのは予想外だ。
「いや、僕もこれは初めてのことで……」
 そこに、横でオウムちゃんが訊ねてきた。
「ヒカック、これはなんの魚なの?」
「これは……ジンベエザメだよ」
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