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オウムの恩返し

第12章 決意


 ということで、心配性なぎぞくは水槽の横に小さな家を作ってくれた。豆腐建築でも良かったんだけど、ぎぞくのこだわりが出て階段ブロックで屋根を作ってくれた。ベットは、僕とオウムちゃんで別々の部屋に一つずつ置かれたけど。いけない考えをしているのはぎぞくなのでは? と僕が煽ったら大いに怒られた。
 それでも、僕はぎぞくに言われたことを完全に無視していた訳ではなかった。オウムちゃんは僕に恩返しをしに来た訳ではないかもしれない。そう思うと結局眠れなくなって、僕はオウムちゃんがぐっすり眠っているのをそっと確認したあと、外に出た。
 外の水槽にはジンベイザメが悠然と泳いでいた。そういえば、サメも水の中で眠るんだっけ。ジンベイザメの動きが昼間見た時より緩やかなような気がした。
 空はすっかり満天の星空で、夜ってこんなに静かで綺麗なんだなと僕はぼんやり考えた。オウムちゃんの本当の目的と、あの日生き残ったオウムに僕が何をしたかとか。
 そう思い出すと胸がきゅっと苦しくなった。爆発されたことは正直嬉しかったけど、追い討ちでオウムを亡きものにしてしまったことに対してはこんなにも悲しかったんだと改めて感じる。
 僕は何度も考え、そして意を決した。
 明日、ちゃんとオウムちゃんに言おう。あの日の事件のこと。
 僕はそう決めてベットへと戻った。
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