• テキストサイズ

オウムの恩返し

第9章 大護送!


「よし、やろう!」
 ぎぞくが切り出し、みんなで釣り竿を振り出す。しかし相手のサメは常に動いていて釣り竿を引っ掛けることだけでもなかなか難しかった。
「あ、引っ掛かった!」
「そのまま引っ張れ、ヒカック!」
「やってるけど……結構重い……!」
 引っ掛かったとしても引っ張り上げることもかなりムズイ。
「ヒカック! 私もやるよ!」
 とオウムちゃんも応戦してくれたがなかなか引っ掛からない。
「あ、こっちは引っ掛かったぞ!」
 そこにコハロンの大きな声が飛び込む。見ると確かにコハロンの釣り竿にサメが引っ掛かっていた。
「よし、引っ張れー!」
 近くにいたぎぞくがコハロンの元に駆けつけ、僕も行こうとした。隣にいるオウムちゃんを呼ぶ。
「オウムちゃん、行こう!」
「うん!」
 そしてコハロンのところに行こうとしたら。
「あ」
 コハロンの声。
「どこに引っ張ってるの、アナタは!💢」
 すかさずぽんPの声が割り込み、変な方向に飛んで行ったジンベイザメを追いかけた。僕たちも急いで追いかける。コハロンがサメを変な方向に引っ張り上げてしまったからだ。
「ごめんごめん」
 コハロンは慌てながらサメを追いかけたが、まぐさんはずっとケラケラ笑ってばかり。やっぱ僕、アツクラ好きだなぁって思うよ。
「ヒカック、笑ってるの?」
 そこにオウムちゃんが下から顔を覗き込んできた。オウムちゃんの顔が近くて一瞬黙り込んでしまった。
「楽しいから笑うんだよ。オウムちゃんは楽しい?」
 僕が聞くと、オウムちゃんは大きく両腕を広げて笑った。
「楽しい!」
 その内に、ジンベイザメが海に逃げそうになっていて、まぐさんが一振りした釣り竿でなんとか逃げずに水槽に入れることに成功した。
「いやぁ、こういうこともあるんですねぇ」
 なんてコハロンは他人事みたいに言ったが、
「アナタが失敗しなきゃこんな騒ぎになってなかったよ」
 とぽんPが冷ややかにツッコミをする。僕がそのやり取りを見て笑っていると横でオウムちゃんも笑って、ぎぞくはずっと笑っていた。
/ 27ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp