第6章 穢れた過去
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「まぁ、その時の
雑誌の写真
死ぬほど売れてなんか賞とるくらいの
凄い写真になっちゃったんだけどね。」
…と言ったところで一旦2人の表情を見ると
(カメラマン誰だ。殺すぞ)
っていう声がこっちまで聞こえそうで
つい微笑んでしまう。
「おい。
続きを。」
「はいはい。」
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そんな日々も過ぎて…
ファンからのプレゼントや手紙も
増えてきた頃…
『ねぇ、菱…ちょっとお願いが…』
「はい?どうされました?」
『この…手紙…どう思う?』
「え?…ってくっさ。
なにこれ。」
『最近同じ封筒で無名で送られてくる手紙が
いつもこんな感じの臭いとか、
その…毛とか…入ってたり、
プレゼントに使用済みのティッシュ入ってるとかで
ちょっと怖くて…』
「本当に?…気づかなくてごめん…
って、あー、ちがう、
申し訳ありません。」
『んー、ふふ、もう
それはどっちでもいいってば。(^^』
「とにかく、絶対検閲するようにします!」
『うん…おねがい。』
彼女の元に不審な手紙や贈り物を
送り付ける人物がいた。
同じ封筒に同じ便箋で
手紙を書いているから、
おそらく同一人物だろうって、
検閲入れると内容も酷くて
”〇〇…今日も君を思いながら
俺は1人で慰めるんだ…”
って、使用済みのティッシュ同封してきたり
”ねぇ…〇〇は僕のだよね?
なのになんで他の男に色目を使うんだ。”
って、さっき言った雑誌の表紙の
目を切り抜いたものを送ってきたり
”この男誰だ?”
って当時付き合ってた彼との
ツーショットが送られてきたり…
それはもう酷いストーカーになって行った。
絶対に外を出歩かせないようにしていたんだけど
ある日
「車下に止めてありますので、
先におりて車に乗っていてください!
絶対に鍵、閉めるように!」
『うん…大丈夫だって。
社長からの呼び出しでしょ?
早く行かなきゃ( ¨̮ )』
「すぐ降りますんで!」
『ふふっ、ゆっくりでいいよ〜』
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そして数分後、
「全く…全然私が呼ばれた意味がわかんない。」
しようも無い理由で呼び出された私は
〇〇のもとへ早足で向かう。
なんでこんなに警戒しているか…
それは、最近あのストーカーから
手紙が来なくなったからだ。