第1章 告白の返事
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「はぁ…はぁ…」
コーヒー屋が混んでいて
結局19:00ギリギリになってしまいました。
屋上のドアの前で
息を整える私。
「ふぅ……」
少し緊張しながら
ドアノブに手をかけて
ガチャ…
扉を開けるとそこには
ーー……
「やぁ、イッチー…
君も…か」
バラを抱えたレンに
「フン…あやつは何を考えている。」
紙袋を持ったカミュさん、
「チッ…どういうことだ、あぁ?」
そして、ブチ切れている黒崎さん。
何だかデジャブです。
「は?…ど、どういうことです?
皆さん何故ここに?」
私は混乱しています。
「さあね?
彼女に告白の返事をこの時間に
ここでするから来てって
昨日メッセージがあったんだ。
…で、来てみたらこれだ」
レンが説明してくれますが、
全く理解できません。
「つまり、ここにいる4人全員が
あやつにアプローチしているということだ。」
「んで、
その返事を全員の前でやるってか?
……どういうことだよ。
なに考えてやがる。」
「フン…そもそも
本当に来るのか怪しいな。
もう時間だと言うのに、
俺を待たせるとは…」
なんて会話が繰り広げられていると
ガチャ…
と、私の後ろの扉が開く音がします。
振り返ると…
ビューッと風が吹いて
『うぅ…寒っ…
ごめんねぇ
お待たせして〜(。>ㅿ<。)』
と小さな体を身震いさせながら
〇〇さんが現れます。
4人がとりあえず
弄ばれていた訳では無い事に
安堵します。
「〇〇さん…これは一体…」
『……えとね…
皆もう分かっちゃったと思うけど、
私、4人からアプローチを受けてるの。』
普段は騒がしい音が
街から聞こえてくるのに
静かな夜空に
〇〇さんの声だけ響いている気がします。
「…それで?
誰を選ぶ?」
カミュさんが単刀直入に聞き、
全員に緊張が走ります。
腕時計のチクタクという音が
大きく聞こえるほどの沈黙が続き…
〇〇さんが
優しい聖母のような表情で
『ミューちゃん…私ね…
とっても欲ばりだから、
4人全員を愛したいし
4人全員から愛されたいの。』
なんて、悪魔のような発言をしました。
「なっ!?」
何を言ってるのですかといいたいけど、
口がパクパクなるばかりで
言葉が出てきません。