第18章 人生の転機
「……わかったよ。
彼女と、話してくる…
でも、別れるって即答できないんだ…
俺も少し彼女の過去について調べてみるから…
それから答えを出してもいいかな?」
トキヤの仕返しが堪えたのか
しおらしくなるレン。
「ええ。
…もちろんです……
(私としては早く離脱して頂きたいところですが、
〇〇さんのためを思うなら、
レンも合わせた5人で愛し合う方が
いいのでしょうし…)
ですが、あまり時間を掛けられても困ります。
私たちにとって必要な情報をくれた人達の
連絡先をお渡しするので、行ってみてください…」
レンにメモ用紙を渡して、
ガチャ…と部屋を出るトキヤ。
レンはそのメモを見つめながら
1人、自分が今すべきことを考えていた。
**
月曜日
とある小さな芸能事務所
5階建てのビルの一室にある
無機質な扉の前に立つレン。
「……」
ここは彼女が元々居た事務所だ。
コンコン……
「……どうぞ。」
中から渋い4,50代の男性の声が聞こえ、
ガチャ……と扉を開く。
「……失礼します。
昨日連絡した、神宮寺レンです。」
ペコッとお辞儀をすると
扉を開けた正面に
社長のテーブルがあり、
そこにまるでヤクザの親玉のような男が
タバコを吸いながら座っている。
どこの事務所も社長というのは
昼夜、場所問わずサングラスをかけるようだ。
「ああ…この前も
シャイニング事務所のアイドルが3人来たが…
何か関係が?…」
「…はい。
彼らと同じく、
□□さんの事が…
「□□の事が
聞きたいのか?」
と、セリフを被せられ、
「は、はい…!」
と答える。
「……ふぅー…
お前に、それを教えて、
俺になんの得がある。」
煙草をふかしながら
サングラス越しに
鋭い視線を向けられるレンは
体が少し強ばるのを感じる。
「……」
「……□□はな、
ウチの看板商品だったんだ。
恩を仇で返されてんだ。
おかげで、一等地の高層ビルに借りられてた事務所も
こんな僻地のボロビルに変わっちまうし…
なあ…?」
煙草を吹かしながら
自分の恋人を商品扱いするこの男に
イラッとくるレン。
「……それはレディのせいではないだろう。」
その言葉に
「あぁん?」
と眉をひそめ、
口を歪ませながら睨みつけられる。