第18章 人生の転機
金曜日 13:45
キキッ… ガチャ…バタン
芸能事務所仕様の車で
シャイニング事務所に乗りつけ、
扉を開く秘書と
中から出てくる〇〇。
芸能人モードでも、
仕立て屋さんモードでもない
社長モードの〇〇がカツカツと
ヒールを鳴らしながら
事務所の社長室に向かう。
周りは
誰だあの美人…
なんだか見た事あるような……
などとヒソヒソ話している。
「…□□様。
目立ちすぎでは?」
『……クス…いいじゃん。
勝負の日なんだから。』
いたずらっ子のような笑みを向けて
社長室と書かれた部屋の扉の前に立つ〇〇。
コンコンコン…
『失礼します…
2時から約束していた□□です。』
と伝えると、
「入っちゃってくだサーイ!」
と、奥から返事が返ってきたので
ガチャ…と扉を開ける
『…失礼します。』
「フフフフ…待ってましたよ。
さぁ、ここに座ってくだサイ!」
と、応接用のソファに誘導される〇〇。
『は、はい…』
シャイニング早乙女の圧の強さに
怯みそうになるが、
社長同士、ここは一切弱さを見せられないと
背筋を伸ばし気を引きしめる。
「では、ミス□□の
返事を聞かせてくだサイ。」
いきなり本題に入る早乙女に
『もちろん…答えはYes…』
と答えた瞬間
彼氏がニヤリとしたのが分かる
『ですが、
それは、条件次第です。』
と、続ける〇〇。
「じ、条件?」
先程まで、ラッキーとでも言わんばかりの
顔つきだった早乙女の顔が少し強ばる。
『…ないならいいですけど。
…後から条件を突きつけられても困るので(^^)』
と先手をとる〇〇。
「フフフフ……
さすがデス!
そう。
この話には条件がありマス!
それは……」
『……それは…?』
ゴクッと唾を飲み込む〇〇
**
ガチャ…
『それでは…
失礼します。』
……パタン
退室した〇〇に、
社長室の前で待機していた菱が駆け寄る
「□□様!…」
『………戻ろう。』
こう言った〇〇の表情は
上手くいったという感じではなかった…