第18章 人生の転機
『ちょっと相談があります。』
朝早くに
〇〇からのメッセージが入り
急いで身支度をして
彼女の家に向かう菱。
いよいよレンと何か進展があったのかと
どんな言葉をかけるか考えながら
車を走らせる。
**
しかし、
「……極秘勧誘状?」
思いのほか物騒な相談だった。
『うん……
今朝郵便受けを見たら入ってた。』
〇〇から受け取り
和紙で作られた3つ折りの封から
同じく和紙に筆で書かれた手紙を読んでいく菱。
「…内容は…
” 極秘勧誘状
拝啓 時下益々ご清祥の段、
心よりお慶び申し上げます。
貴殿の手がけられる衣装、
ならびに美意識の高き感性に、
かねてより深甚なる敬意を抱いております。
つきましては、貴殿を
デザイナー兼スタイリストとして
我が社に迎えたく、
ここに極秘裡なるお誘いの書をしたためました。
是非とも一度、席を設けさせていただきたく存じます。
本状は貴殿おひとりのみに宛てたるもの。
何卒、他言なきようお願い申し上げます。
敬具
シャイニング事務所
代表取締役社長 早乙女 光男”
って、シャイニング事務所からの
衣装デザイナン兼スタイリストの誘い!?」
『……だね………』
思わず素に戻り、
口元の綻びを隠せない菱と
なにか裏があるんじゃないかと
疑っているような表情の〇〇。
「と、とにかく返事を書かないとですね。」
『そうだね。
こっちは便箋に万年筆でいっか…』
**
翌日
シャイニング事務所の社長室にて
”拝復
このたびは、身に余るお言葉と、
ありがたいお誘いの書状を頂戴し、
心より御礼申し上げます。
貴社の皆様が、
私の仕事に目を留めてくださったこと、
大変光栄に存じます。
いただいたお話、
誠に興味深く拝読いたしました。
ぜひ一度、お話を伺えればと思い、
来たる金曜日、午後二時に
貴社へ伺わせていただきたく存じます。
お手を煩わせますが、
何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
ST.co 代表 □□ 〇〇”
という内容を見てニヤリと笑う
シャイニング早乙女。
(ついに…
彼女が手に入る。)
彼は好条件で彼女が手に入りそうな現状に
ただただ、興奮していた。